都内進学塾を20年経営してきて起こった様々な人間模様
                 
                 クロピーの「言ってる意味わかります?!」
クロピーこと、私黒沢正樹が日々思う色々なことをここでは好き勝手に語ってみよう!というコーナーです。詩人モードに突入すると、次から次へと言葉が溢れてくるのです。その言葉を忘れないように書き留めておきたい!というクロピーの想いを聞いてやって下さい!

  


  
★Vol.16 「2つの奇跡(茶髪と受験)」


八巻さん(奇跡その2参照)とは私が通っていた美容室で知り合いになりました。マネージャーという立場だったようですが、3年間、僕の髪のカットを担当してくれてました。いきなり美容室を辞めると言い出し、心理カウンセラーになるためにアメリカに行くということになったのです。しかし、わずか1ヶ月たらずで帰国。

そして、なんと日本の大学に行きたいと去年の2月から私の塾で勉強を始めることになったのです。
彼の最終学歴は高校中退だったため、大学検定試験を受験する必要がありました。普通なら1、2年かかるところを、8月にみごと13科目すべて合格し、そしてなんとその3ヶ月後に早稲田大学文学部に合格したのでした。大検を含めて10ヶ月の大学受験です。ベテランの予備校の先生達が神業としかいいようがないと声をそろえて言っています。

そしてその彼が今、ある中3の男の子(その3茶髪と受験参照)の先生になることになったのです。彼は中3の夏休みまで普通の子でした、成績も3と4、野球部でがんばり、高校へ行って甲子園に行くのが夢だったそうです。

しかし、中3の夏ことでした。練習中の事故のため、足を怪我し、二度と野球をできない事を医者から宣告されてしまったのです。15年間の夢がある日突然、煙のようになくなってしまった現実を受け止めるには、15歳という年齢はあまりにも若すぎたようでした。2学期に入り、髪はまっ茶でポマード、授業には出ず、あげくのはてに中間試験も期末試験も受けませんでした。転落のおきまりパターンです。

その結果、2学期の成績はほとんどが1、もちろんこのままではどこの高校も入れない、そんなところまで行っていました。東京の私立高校は12月15日から推薦の受け付けが始まり、3日間ぐらいですべてが締め切ります。この時期を逃すとあとは一般受験ということなのですが、彼の事を考えると、ほとんど絶望の状態でした。

ただ、日ごろから親しくしている私立高校の校長先生がその事情をすべて分かった上で、特別にということで12月25日に会ってくれるということになりました。前日に彼に電話をして、その話しをし、そして髪を黒にもどしてちゃんとして行くなら、面接に一緒に行こうとといいました。彼もその時は分かりましたと答え、お母さんもこの子に髪を黒に戻せという人は世界中で先生だけですと泣いていました。

そして25日当日です。
駅で待ち合わせをしていたんですが、そこに現れた彼を見て、私はぎょっとしました。
なんという頭をしているんだと。
前日までは面接に行くために髪を黒くして素直になっていたそうですが、その日の朝中学校に行ったとたん、またもとに戻ってしまったのです。その髪型では面接が通るわけはありません。本人ももうだめだと開き直って、その日からまたもとに戻ってしまいました。まわりの人のなんとしても高校に行かせたいという願いも通じませんでした。

しかし、そのままでは終わりませんでした。
なんとしてもいう祈りが通じたのか、その私立高校の教頭先生(元野球部監督)が是非第1志望として数学1教科で受験させて下さいと言ってくれたのです。先生(私)の推薦なんだから、なんとか最後までやらせて下さいとの事でした。この事を彼はどこまで理解できたかは分かりません。
もう高校は行かないと、今年1月になっても言っていたそうですが、とにかくテストを受けてみようと説得し、そのために特別に先生を紹介する事を約束しました。

ここに八巻先生の誕生です。
2人は初めて会って1時間ぐらい話していました。

そして、最後に、彼が毎日でもみてほしいと八巻先生に言ったそうです。
がんばるからと。
彼が2月10日に試験までに、髪をもとの黒に戻し、そして、なにより素直に高校へ行きたいと言えるようにさせて下さいと頼みました。

そして、2月9日、受験前日なんと、元美容師の八巻先生のハサミで彼の髪は短くカットされ茶髪は黒に染め直されました。(写真)


2月10日、受験。
そして、その日に特別のはからいで郵送のはずの合格通知をその高校の先生から直接本人に手渡されその夜に合格が決まりました。

その日の夕方
僕は、初めて彼から電話をもらいました。

「塾長、受かったよ!。」
そして
「ありがとうございました。」
この言葉も、初めてでした。

受験だけでなく、どんなことでも最後まであきらめないでがんばるということは、本当に大切なんだと私もあらためて知ることができたような気がします。そして、この2人に出会えたことを、この後の自分達の教育にいかしていくことが私の使命なんだと痛感しています。

塾長 黒沢 正樹
  

 

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